僕はカラー写真を撮らない。ほとんどと言って良いほど、撮らない。
写真を始めた当初はカラーフィルムだった。
気が付くと、モノクロフィルムでしか撮らなくなっていた。
写真を撮ろうとする時、何かを捉えようとする瞬間、
色盲になる。すでに白黒に世界は見えている。そんな不思議な事が、
気がつけばもう7、8年は経っているだろうか。
何の不思議も無い。
しかし、だからこそたまに撮るカラーが不思議だ。
面白いとも思わない。僕に色は分から無い。魅力の分別もよく付かない。
被写体と、不思議な時間を過ごす事となる。
色とはどんなものであったろうか。それはまるで、
子供の頃遊んだグラウンドの色が何色であったかを思い出そうとするくらいに、
かすんでいて、淀んでいて、明瞭で無い。
そこへ想像を馳せる。かつての色を探す。宝探しとも違う。
忘れ物でも無い、どうだっていいものを、なぜか気になってしまって、
仕方なく探してみる。そんな程度の気持ちに近いかも知れない。
花は全て枯れてしまった。最後は悲しさしか残らなかった。
この別れを乗り越えなければ、新しい花を迎え入れる事は僕には出来ない。
そしてまた、モノクロで、たまにカラーで、
写真というちょっとしたもの探しの時間へ、歩み出すのだろう。
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